アベミ ハSS【初 恋ラバーズ】

☆21日☆

●日記にSS。



コミックスの初恋ネタに萌えて思わず…
リハビリを兼ねて。










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【初恋ラバーズ】






阿部から真剣な顔で相談がある、と言われた時、花井と水谷は一体どんな深刻な内容だろうと思い息を飲んだ。
何しろそう言った時の阿部はいつもの倍眉間の皺を深くし、鬼気迫る顔をしていたのだ。
水谷はいつものような軽いノリも返せず、花井もただ頷くしか出来なかったのだが。
いざその悩みを打ち明けられると、今度は別の意味で二人は言葉を返す事が出来なくなった。
何しろその悩みと言うのが。

「えーと…つまり…お前の悩みって…」

花井が頭を抱える。

「好きな人が出来ちゃった!…って……そう言う事?」

水谷の半笑いを咎めもせず、視線をふいと背けながら悪いかと照れて悪態をつく阿部に二人はガクリと項垂れるしかなかった。




阿部の相談は本当に水谷が纏めた通りで。
どうやら好きな人が出来たらしいんだけど、どうしたらいいだろうか、と。
つまりはそういう事だった。
あんな改まって言うからどんな一生に関わるような大事かと思えば。
単なる恋愛相談って…
否、相手が三橋で男同士である事を考えれば一生に関わると言えば関わるが。
それにしたってこれは無いと思う。
仮にも高校生が。

(あ、でも、こいつ、初恋まだだったんだっけ…)

これが初恋なら仕方ないだろうか。
いや、それでも高校生にもなって真剣に恋愛相談。

しかも、阿部が相談したがっているのはその男同士と言う事ではないのだ。

「俺、これが初恋なんだよ。」
「うん、知ってる。」

余り知りたく無かったが。
悲しいかな、以前合宿で初恋はいつというような話をした時に阿部の話も聞いたから知っている。
あの時は彼の情緒の発達を思わず心配してしまったが。
今この状況で初恋が訪れて良かったな、とはとてもじゃないが思えない。
阿部からこんな甘酸っぱい恋愛相談を受けるぐらいなら一生――…いや、せめて高校卒業するまで初恋が訪れなければ良かったとのにと思わずにはいられない。

「――で。初めてだからどうしたらいいって何だよ。」
「そうそう。別に、初めてでも二度目でも同じでしょー。」

さっさとこの話し合いを終わりにしたいと、確信にふれる花井に同じ気持ちの水谷が追従する。
見た感じでは、三橋の反応は悪くない。
同性同士、チームメイトと言う所が少々アレだが、特に相談などしなくても、普通に告白すればこの二人ならまとまりそうだ。
しかし、阿部はそれでは納得しない。
初恋だからこそこのままではダメで、どうしたらいいのかを聞きたいらしい。
何故なら。

「初恋は実らねぇって言うだろうが!」

大真面目に力説する阿部。
ガコンと硬質な音がする。
花井が頭を机にぶつけたのだ。
そして花井はそのまま動かなくなってしまう。

「あぁ!花井!!死なないでー!!」

俺一人残して逝かないでと水谷が花井の背中に取り縋る。
とてもじゃないが、今の阿部の相手をするには水谷一人では荷が克ち過ぎた。

「わーん!花井、起きてよー!」
「俺は知らない…何も聞いてない…」
「おい、お前ら。遊んでねぇで相談に乗りやがれ!」
「知らないよー!」

そんなのただの迷信だと言った所で、“現部員の中に彼女持ちがいないと言う事は、初恋経験者組のそれらは実らなかったと言う事になる”と。
妙な分析をした阿部が聞いてくれる気配はない。
仮に当時上手くいっていたのだとしても、現時点で彼女がいないと言う事は結局は破局したと言う事なのだ。

「俺は三橋と、そんな一時的な関係で終わらせるつもりはねぇんだよ!」
「いやぁぁ!!聞きたくないー!」

せめて三橋が初恋を済ませていてくれれば良かったのだが。
残念ながら三橋も未経験組みである事は周知だ。
誰でもいい。
身近な、一緒に住んでいた従姉妹でもいいから。
何で初恋を済ませていてくれなかったんだ、と言う悲痛な叫びは2つ隣のクラスで昼寝をしている三橋には届かぬまま。
水谷の悲鳴と花井の独り言はチャイムが鳴るまで延々と響いていたのだった。





FIN










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休み時間の一コマ、的な。

こっそりtkさんにささげます。(ハピバ!)

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